海の向こうの国に恋人に手紙を書こうと思うのだけれど、胸がいっぱいで最初の一行も書き出せないという歌詞の曲を思い出しているところ。電子メールも携帯電話もない、国際電話は料金が馬鹿高い時代の歌である。
自分は別にラブレターを書いているわけじゃないんだが、書きたいことがどうしても形にならない時というのは似たようなものなのかと思う。それこそ一行目から一世一代の大名言を放り込みたいという時だ。
そういう欲求に悶えつつ、深夜の通常でない精神状態で言葉を捻り回すのだ。書きたいことへの偏執的な愛と、作業の困難さへのストレスとがないまぜで、これはこれで楽しいのだが、しかし書き記すべき言葉は一向に立ち現れぬ。
スランプといっていいのだろうけれど、書くべきネタが無いのではなく、溢れかえっているというのが問題なのかも知れない。ダメなら諦めるということができず、見えてるものから目が逸らせぬのであるし。