本物にはなれないから、偽物を極めるのに形にこだわるということがあるのか。
例えば、今でこそブームは沈静化しているのだが、メイドブームと呼ばれる時代にはエプロンドレスを身に着けた若いお嬢さんが、主人と使用人の関係をことさらに強調するため「ご主人様ぁ」などと決まり文句のように特殊な店舗にて口々に叫んでいたものである。 おそらく、屋敷の雑用をこなす女性という意味で本当の意味でのメイドと呼ばれる職業の人間は、雇い主とはあまり接触することなどないのではないかと思う。そういう雑用に煩らわせる時間を減らすためにメイドを雇うのであり、イメージプレイで馴れ合うのは本来の業務ではないだろうから。 また、酒を提供する店で接客を担当する女性で、特に派手ないでたちをする者たちがある。髪の毛を盛ったり巻いたり、衣装はキラキラ光る物を好む。ああいう装いの発想はどこから出てくるのかと疑問に思っていたが、ある日天啓のように「偽物でも良いからお姫さまになりたいから」という結論が落ちてくる。 それが満点の答になるとは思わないけれど、しかしかつての実際の西欧での貴族の女性たちの奇抜なファッションの歴史にも、通じる何かを感じるのは確かだ。手間を多くかけるのがオシャレであり、それが行き過ぎて過剰になるのが贅沢だと思い込んでいるという意味で、何か通じ合う物がある。
by muzina-giku
| 2009-04-04 00:34
| 雑記
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