カテゴリ:本( 114 )
プレミアついたからって手放さないけどさあ
 最近やたらと放送される携帯電話向けゲーム『アヴァロンの騎士』のCMを見ながら、「『アヴァロン』って言ったら『鍵』だよね」「いや、おいらは『霧』」という会話が発生する。なんというか発言者の生息地がよく分かる会話だな。

 自分の場合は「霧(M. Z. ブラッドリー『アヴァロンの霧』という小説がありまして)」なのだが、この本の日本語翻訳版が現在絶版状態で推薦するのもどうかという感じなのである。原作者が亡くなった際、どうも遺族の方々が全著作の翻訳権を引き上げてしまったらしい。

 とは言っても、本自体の数は結構出ているようなので古本を根気よく探せば発見自体は困難ではないのが救いではある。その一方でTVドラマ版『アヴァロンの霧』などという代物がアメリカで制作されていたらしいけれど。日本でも放送はされたようなのだが、自分は見事に見逃してしまった。

 ともあれ、この程度の話では特に古本の値段が釣り上がるようなことはないと思う。しかし最近、ロバート・F・ヤング他の短篇集『たんぽぽ娘』の価格が急激に釣り上がって「うひゃあ」という話なのだが、なんだかモヤッとする。どこそかのドラマ化された小説で取り扱われたという経緯からだが、一時期Amazonのマーケットプレイスで8万円近いような価格がついていたりして、何だか空恐ろしい思いを抱いた次第。

『たんぽぽ娘』は河出書房から5月に復刊の予定だが、プレミア付きの短篇集に収められていたブラッドリーの『風の人々』は翻訳権引き上げの経緯から復刻とはならないだろうが。

 関係ないけれど、そんなこんなでWeb上を巡っていたら沖積舎版サトクリフ『ベーオウルフ』が入手困難本扱いされており、状態良好の場合けっこういい値段であることを知る。多分、うちの魔窟に埋まっているはずだよなあ。
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by muzina-giku | 2013-03-20 00:40 |
十個を選ぶ
 なにやらネット上で世界名作小説十選を作ってみるというネタがあったようで、「あーじゃない、こーじゃない」という雑談が展開されていた模様。好みを全面に出すか、あるいは文学的価値(後世への影響とか)を重視するかで意見が割れる、割れる。

 また「小説十選」なので、戯曲を入れるか、詩はどうするのかで、内容が大きく変わるので思案のしどころである。戯曲なしだとシェイクスピアは外れるし、詩を抜きにすると『神曲』はアウト。また未完結作品というのも問題をややこしくする。

 少なくとも、地域に偏りがあってはいけないと思うので、世界各国から少しずつ選ぶことになるのだが、その場合に日本代表は何になるのか。古典である『源氏物語』で落ち着くのか、あるいは近世の作品で文学的意識が芽生えてからの作品が良いのか。芥川の『藪の中』なんて良いと思うんだけれどね。

 でも英文学代表を決定する際に、好みは差し置いて オースティン か ディケンズ のどちらかは入れて置かなければならんのですよ。でもシェイクスピアが戯曲という理由で落とされてなかったら、どの作品を代表に入れるかで揉めるだろうし、もろもろ面倒くさい国だなあと思う。
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by muzina-giku | 2012-10-29 00:50 |
信者とアンチ
 作家・村上春樹氏は、非常に人気の高い作家であるが、それと同時にアンチも数多い。自分の知り合いで、付き合っていた彼女に強く勧められて『ノルウェイの森』を読んだは良いが、全く良さが分からずに彼女とも読書の話題が噛み合わなくなって結局恋愛終了になった男がいる。好みの違いといってしまえばそれまでだが、そのぐらい信者とアンチが理解し合えない作家であるといえよう。

 で、今回もノーベル文学賞を逃した村上氏であるが、「もしかしたら選考委員の何人かがアンチなのではないか」という気がしてきた。なので毎回、候補として上がってくるものの、強力に「嫌」と言いはる人がいて、受賞に至らぬではないかと。

 自分も村上氏の作品は好きではない方なのだが、文章力については嫌ってはいない。なので彼の作品ではない翻訳や、文学作品ではないエッセイのようなものは読むけれど、小説はほとんど読まない。一応『風の歌を聴け』は読んだけれど、肌にはまるで合わなかったという感想である。

 マスコミでの扱いは、「日本人によるノーベル賞受賞」という観点から取り扱うため、どうしても持ち上げる方面 すなわち信者側からの報道になるけれど、信者の熱心さと同じぐらいのアンチからの「否」があるのはスルーされているのでね。
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by muzina-giku | 2012-10-12 00:10 |
紙に印刷されたコンテンツ
 三次元物品は収集すると保管場所に困ってしまうので、基本的に二次元の趣味しか金銭をつぎ込まない。この場合の二次元というのは「紙に印刷できるもの」の意味で、書籍・漫画・雑誌の類である。

 しかしオタク用語としての二次元と言うと、「平面に描画されたキャラクター画像、そこからメディア展開されたアニメ・ゲームのキャラクター」のこととなるらしい。自分に意識としては動画などのコンテンツの閲覧に電気を必要とするものは二次元とは言いがたいのだが、その辺りの認識はズレが生じている模様。

 だが動画では平面に描画されたものを高速に入れ替えていくことで、動いていると錯覚させているのだから二次元の範疇なのかもしれない。しかし、さらにメディア展開が大規模になっていき、フィギュアが制作される、生身の人間の俳優による実写作品が制作されるとなると、もはや二次元とは言いがたいのは理解してもらえると思う。

 また反対方向として、小説のような文字だけのコンテンツも、紙に印刷するという意味では二次元であるのだが、あれはもしかしたら一次元と言って良いのかもしれない。文字の連なる文章を一本の線に見立て、初めから終わりまで真っ直ぐに進行するという意味である。
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by muzina-giku | 2012-07-10 23:32 |
切っては読み、裂いては読み
 いわゆる「自炊」、つまり書籍を裁断してスキャンし、画像データとしてデジタルデータ化してコンピューター等に取り込む作業をしていると、かえって紙の本での読書量が増加するという不思議。しかしきちんと順を追って考えると当然という話。

 そもそもデジタル化のために裁断する本というのは、裁断しても惜しくない二線級の本がメインだということがある。そのため裁断前にチェックのためザッと読み、その後スキャン途中の待ち時間などでちゃっちゃと読みしていると、二線級であるためかどうしても物足らなくなってくる。なので裁断の予定のない一線級を書棚から引っ張り出し、不足した読書に対する満足を補充する作業が追加されることとなる。

 そして一線級が尽きてしまった時には、さらなる補充のために新しい書籍が再び増えることとなるのだが、手持ちの本を減らすために自炊をしているのに本が増えるとは何事かと思う。考えてみれば、自炊をしてでも本の内容を手元に残しておきたいと思う本好きであるのだから、元々は本を買う消費者でもある。結局は増える本と減らす本との戦いは継続する。

 だが、昨今の自炊やら電子化絡みのニュースを見ていると、出版社が本気で書籍を販売したいのか疑問に思うこともしばしばである。手持ちの本を減らすために電子化を敢行している客は、つまり本を大量に買う客なのである。しかしそのような自炊行為を、出版社などが盗人扱いしている様子が見受けられるのだが、この意識のズレというのが日本における電子書籍の普及にブレーキをかけているのだろうなあ、もったいないことに。
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by muzina-giku | 2012-06-24 00:17 |
あの人の今、この人の今
 書籍の裁断・スキャンで勢いづき、古めの本を整理しだしたのだが、困ったことに読書のペースが進むこと。片付けるために中身を確認するのだが、本読みの習性として目の前に出現した活字は条件反射的に読んでしまうものらしい。そのために当座としては必要のない知識が脳内に溢れているのだが、それはそれで面白いアイデアに繋がるんだからよしとせねばなるまい。

 さて上記のような状況で溢れているもののうち、早めに整理しておきたいのが人名であろうか。十年ほど前の論評系の新書をよんでいたのだが、そこで批判されている人物を何人かチェックしておきたいと思ったのだ。

 それらの人物は、本の発行された年頃に中ヒットぐらいのベストセラーを出している人物で、当時はTVなどに出演して「専門家として」意見を求められるコメンテイターの役割を果たしていた人々だ。チェックを入れておきたいというからには、当然ながら今現在はメディアにおいて影も形も失せてしまっているからなのだが、もう少し詳しく消失時期を特定しておきたかったのだ。

 我ながら悪趣味だとは思うけれど、生き延びられなかった人種の特徴を上げてゆくには絶好のサンプルだと思うので。そしてこのような作業のさいには、論客が10年生き延びることの難しさもよく分かるのだし。
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by muzina-giku | 2012-06-16 00:16 |
ファーレンハイト
『華氏451度』を代表作に持つ作家レイ・ブラッドベリが亡くなったのだそうな。たまたま先週辺りに読んでいた本で、検閲に関する論評に『華氏451度』を取り上げていたので、タイミングに驚いているところである。ただ、表現規制・検閲の話題となると頻繁に取り上げられる作品なので、偶然というほどのことではないのかもしれないが。

SF読みにとってはある一時期にハシカのようにどっぷり嵌る作家としてその位置を確立している御仁だったが、本人は自らをSF作家と呼ばれることを嫌っていたため、日本語翻訳版を多く出す早川書房ではその著作をノベルスのレーベルで出している。しかし日本のマスコミ(新聞とか)では訃報を出す際に「SF作家」と書いてしまうのであろうな。
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by muzina-giku | 2012-06-07 00:21 |
厚みと内容、反比例
 自分で書籍を裁断し、スキャナを通してデジタル画像として保存する作業(いわゆる自炊というやつですな)をしている時に思うのは、内容の薄い本ほど装丁が凝っているということ。

 只の私見に過ぎぬと思うのだが、しかし通俗的な内容の本であれば短い期間に売り切る必要があるので、店頭で目立つような凝った装丁になりがちということなのだろうか。また、ロングセラーを見込める本であれば、一時期にしかウケない前衛的な装丁よりも、保守的で長期間変更のいらぬ装丁のほうが相応しいのかもしれない。

 自分の場合には、裁断する書籍というのは、切断する勇気が少なくて済む薄い内容のものが優先されている状態なので、今のところ上質な紙を多く切っているところである。活字の内容は薄いのに、使用されている紙は厚みがあるのがなんだか笑える。だが厚みがある分、ページ数は少ないので作業が早く終るので、情報量の少なさをそういうところからも実感する。
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by muzina-giku | 2012-05-31 00:41 |
宇宙の果てで何かが寝ている
 クトゥルフ神話を元ネタにしたラノベ原作コメディアニメが放送されているからか、元となったクトゥルフ神話について一通りレクチャーさせられる羽目となる。パロディがヒットすると、元ネタを知っている者と知らぬ者の温度差が酷くてイケない。だが、主戦場がアニメで活字はラノベだけの人種と、メインが翻訳SFで鋭意戦線拡大中の人種では蓄えている知識が違うから仕方ない話である。

 基礎知識としては、怪異の原因が宇宙規模の人智を超えた存在で、あまりに想像力の埒外にあるのでまともに遭遇すると精神に異常をきたすという点を強調。そして原作の文章が個性的(壊滅的とも言う)で、そのために翻訳の文章も独特、故にそこら辺をコピペ改変されることもしばしばという話をしておいた。

 そもそもクトゥルフ神話という代物も、最初の書き手であるラブクラフトが、愛読していたアイルランドの作家ロード・ダンセイニの著作群の影響を受けつつ書いたものである。ダンセイニの場合、人智を超えた存在は神々であり、あまりに偉大すぎて足元にいる人類を蟻ん子以下にしか感じていないという話になるのだが。
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by muzina-giku | 2012-05-30 00:47 |
もう20年近くも前なのだ
「失敗する余地があるなら、失敗する」を基本法則とした『マーフィーの法則』の翻訳版が魔窟より出たり。1993年のベストセラーなので(120万部売れたそうな)記憶している人も多いだろうが、内容は失敗に関する経験則をユーモアを交えてまとめたものである。

 出てきたついでにざっと目を通してみたが、基本的に経験則であるために現在でもある程度受け入れられるものが多い印象である。しかしながら、当時のバブルの残り香の中にあった時代と、現在とでは受け入れられ方もだいぶ変わってきたのも確かなのだが。

 例えば「トンプソンの法則」と題して「状況がおかしくなると、おかしな連中が専門家になる」という一文があるのだが、これなどは「放射能かー、放射能なのかー」という感想が出てちっとも笑えない。これに限らず似たようなことが多々有り、時代の推移を感じる。
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by muzina-giku | 2012-05-15 00:03 |

斬るものなんでもヤワラカ仕上げ
by muzina-giku
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