先日、知人としゃべっている時に「最近のフィクションでは人間が死ななくなった」という話題になった。
残酷描写がどうとか年齢規制がどうだとか、そうした風潮がこうした傾向に拍車をかけているのだと思うが、昔話などでもこうした影響を受けるのには正直疑問を覚える。 たとえば『カチカチ山』などでは、かつて殺されたおばあさんの敵を討つため、ウサギがタヌキを川に沈めて殺していたが、昨今の書き直されたものではおばあさんもタヌキも死なない。最後に酷い目に遭わされたタヌキが、反省して自らの悪事について謝り、めでたしめでたしで終わる。 そこまで改編してしまうと、物語としての面白みはほとんど消え去ってしまっているが、そんなにしてまで物語の中から死のにおいを消し去ってしまいたいという欲求は一体何なのかと疑問に思う。 フェアリーランド(おとぎ話世界)の経済学の視点から見れば『カチカチ山』は、殺されたおばあさんがウサギに転生しタヌキを殺すことで奪われた生命を奪い返す、被害とそれに対する補償の話である。しかし、表面的な残酷描写に目を奪われた、つたない読み手たちには、そうした物語背後にある隠されたストーリーには目が向かないものらしい。 かくして多くの物語は「安全」なものに書き替えられていくのだろう。
by muzina-giku
| 2007-03-20 00:32
| 雑記
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